会長挨拶

 2013年度より日本歯科産業学会の会長職をおあずかりしております 川原 大 です.

 日本歯科産業学会はその名称が示すように歯科関連産業に従事する方々の交流を深め,歯科治療をうける患者さんのQOLの向上に寄与することを目的としています.本学会は歯科材料・器械の専門学会の議場ではあまり論じられてこなかった以下の二つのカテゴリーをとくに重視する必要があると考えています.

1. 産官学の連携
 わが国の歯科材料と歯科器械の品質は先進国の中でも最高のレベルであろうと思います.
これは日本企業の研究開発部門と大学研究者の方々の相互連携の賜で,産学連携で世界に冠たる”made in Japan”の歯科材料・器械が販売されてきた成果であろうと思います.世界中の Dental Provider(歯科医療提供者)に日本製の歯科材料・器械が愛用されていることは誇りに思うべきことですが,製品によっては安全性を重視するあまり,わが国の患者さんがわが国のすぐれた新製品の恩恵をうけにくい場合があることも事実です.薬事法により安全性を担保しつつも,いち早く患者さんのQOL向上に寄与出来るように改善されなければなりません.このためには産学連携だけではなく産官学連携で解決することが必要不可欠となりましょう.

2. 歯科医療のマーケティング
 医業は営利目的であってはならないという概念は多くの人々が倫理的に持ち合わせている概念であろうと思います.とくに日本人の倫理観が類をみない高潔さであることは世界中の人々が知っていますし,このことは歯科産業にかかわる人々の倫理観も例外ではありません.しかし残念なことに,第一線のDental Providerは少なからず経済的に疲弊し,さらに最近の風潮として,メディアにより歯科医療の信頼性が時として失墜させられることがあります.一昔前であれば,このようなマイナス面の風潮に対しても高潔さを重んじ,言い訳をしない姿勢を貫いていればよかったのかもしれませんが,現在は質の善し悪しを問わず,情報の拡散速度と範囲が比較にならないほど大きくなりました.したがって,これまでのように高潔さを重んじて,歯科産業全体が低迷傾向にあることをこれ以上甘受しつづけることは困難になってきたように思います.このような問題点を克服するためには,歯学教育の段階からマーケティングを基礎から教育し,学術的にも独創的なマーケティング手法を研究し,開発していく必要がありましょう.

 歯科関連産業の発展のために,第一線でご活躍の Dental Provider の方々はもちろんのこと,企業関係者や研究機関の方々,さらには所轄官庁の方々にも本学会のあらたな方向性にご賛同を頂ければ幸いでございます.

日本歯科産業学会 会長